嫁おどし肉附面

先日、福井県の海岸沿いを金沢方面に向かって北上している道の途中に、凄まじいインパクトの看板が目に入ってきた。

ん?

んんっ??

えっっ??

嫁おどし肉付面。

いやいや、明らかにおかしいでしょ笑

頭をフル回転させながらもそのまま道を進むと…

一体なんなんだよ。

3度見ぐらいして半笑いで想像をMAXに膨らませながら速攻でUターンして行ってきた。

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まずは名前から想像を膨らませてみる

気になりすぎてUターンしたは良いものの、「嫁おどし肉附面」とはいったい何なのか??

意味の分からない看板が主張し過ぎてきて、若干脳ミソに混乱と興奮が襲ってきているような感覚に陥ってきた。楽しみすぎる。少年時代以来のワクワク感。

看板とパッと横目で見た情報から察するとお寺さんのような感じだったんだが…。

否が応でも想像がかき立てられてしまう。

ここで一度、頭の中を整理してみよう。嫁おどし肉付面とはいったい何だろうか??

嫁が原始人が持ってるような肉のお面でも付けて脅してくるのか!?

想像しただけでもおどろおどろしい光景だ。

それとも意表を突いて、嫁を脅せるほど美味い肉が入った麺料理の事なのか??

気になりすぎて運転に集中できないレベルだ。

真相を確かめるべく、ただっ広い駐車場に車を停めて足早に車を降り、早歩きで入口へ向かった。

意外。結構、由緒あるお寺だった

駐車場の目の前にはお寺の入り口であろう門があり

その脇には御案内と書かれた看板が。

ふむふむ、どうやらこのお寺さんは通称「吉崎御坊」というらしい。正式名称は吉崎別院。

なんと、京都の西本願寺の別院だそうだ。西本願寺とは、京都では「お西さん」の愛称で親しまれている浄土真宗本願寺派の本山である。

その昔、蓮如上人という浄土真宗のお坊さんがこの吉崎御坊という坊舎(お坊さんたちの宿舎みたいなの)を建てたのが起源だそう。それが時を経て本願寺の別院となったようだ。

吉崎別院の歴史も気になるが、道の向こうの看板の方がやはり気になる。

この看板を見る限り、どうやら例のものはお面のようだ。↑(矢印)の方に進みたくなったが、やはりまずはお参りが先だ!ということで、早速境内へ。

入口の階段を上がると、「念力門」という立派な門がお出迎えしてくれる。もともと豊臣秀吉が京都の本願寺に寄進した門をこの地に移築したのだそうだ。

手と口を清めようと思ったら、手水舎はいい感じに干からびていた。珍しく手動の手水舎だ。蛇口をひねってみたが、水は出なかった。真夏なのできっと節水中なんだな。

こちらが吉崎別院。境内には立派な銀杏の木が青々と葉っぱを茂らせている。

本堂へ向かう途中には休憩用のスペースも完備。

まるでお茶屋にでもあるような洒落たテラスだ。

お参りの後、別院の中を撮らせてもらう。

一応、お堂の両脇を見てみるとトイレもあった。梯子を上ると天上界に行けるのだろうか。昇りたくなったが、まだ早いと思ってやめておく。

太鼓はカッピカピになって下の方が破れていたが、一応音は鳴った。あんまり叩くと全部破れそうなので、これもほどほどで止めておく。

さて、お堂は一回りしたが特に異常なし。

って、あれ?

お面は??

てっきりこのお堂に、アレに関するなんがあると思ってたんだけど…

おっ、境内を見回すとなにやら資料館っぽい建物が。きっとここにお目当てのアレがあるんだな。はやる気持ちを抑えきれずに小走りになる。

いざ、資料館へ!!

受付は特に必要ないらしい。誰もいない。

恐る恐る中をのぞいてみると。。。

うおっ!!!!?

ガラス越しになんか見える…。人間??いや、

扉を開けて入ってみると、人形が2体。正直、リアルすぎてかなり怖い笑。

資料館の中にはもちろん誰もいない。薄暗い資料館の中にはとっても静かな空気が流れていて、今にも動き出しそうな躍動感が恐怖感を否応なしに煽る仕組みだ。

人形の間には顎のしゃくれた…いや、顎の外れた鬼のお面がある。

ここで説明文を見て、ようやく「アレ」の正体が分かった。

「アレ」はどうやら嫁と姑の確執が生んだ、お面にまつわる物語らしい。

嫁おどし肉付面の正体がついに判明!

時は1470年~1480年の文明年中。吉崎から8キロほど離れた十楽村というところに農民の与三次と、妻の清と二人の息子、母のおもとの4人が共に暮らしていました。

与三次と清はとても信心深く農作業が終わると毎晩二人で吉崎まで参拝に行っていましたが、あるとき与三次と息子が相次いで病気で亡くなってしまい、清と姑のおもとが残されてしまいました。

清は、与三次が亡くなってからも毎晩寺まで出かけてお参りを欠かしません。一方、姑のおもとはそんな清の姿を見て信心しないばかりか、その信仰を快く思っていませんでした。

「あ~、妬ましや!清のお参りを邪魔してやる!」

そう考えたおもとは、家にあった鬼の面を付けて清が参拝へ行く道の途中で待ち伏せをし、「女待て!」と脅かして出て道を塞ぎました。

しかし、信心深い清は驚きもせず、「食まば食め、喰らわば喰らえ金剛の他力の信はよもやはむまじ」(食うなら食え、殺すなら殺せ!ただし、私が信じる信仰心は決して消えることは無い!)と言い放ち、南無阿弥陀仏と念仏を唱えながらその場を立ち去りました。

脅かすことに失敗したおもとは、清が帰る前に家に先回りして「明日こそは…」とつぶやきながらお面を外そうとすると、外れません。無理にはがそうとすると、顔の皮膚や耳までビリビリとくっついてきます。恐怖のあまりおもとは声をあげて泣きだしま始末です。

そうこうしている内に清が帰ってきて、鬼のお面を付けている姿を見られてしまいました。

観念したおもとは、泣きながら正直に事の一部始終を話して聞かせます。

それを聞いた清は、おもとを連れて蓮如上人がいる吉崎御坊へ向かいます。蓮如上人は話を聞くと、おもとに御仏の教えを説いて聞かせました。

教えを聞いたおもとが「南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏」と念仏を唱えると、不思議な事に鬼のお面はポロリと顔からはがれたそうです。

しかし、必死でお面をはがそうとしたせいか、お面にはおもとの顔の肉がこびりついていたということです。

いやはや、嫁姑問題というのは今も昔も変わらないんですね。ホント末恐ろしい。

資料館にあった肉付面はレプリカだった

とまあ、肉付面の正体は判明した者の、ここにきてまさかの事実が。

説明書きを読むと、本物の「肉付面」はどうやら資料館にあった顎が外れた鬼の面ではないらしい。

少し奥に行った「願慶寺」というお寺さんに保管されているとのこと。

そういえば…

別院のトイレに行く途中にこんな看板と勝手口みたいな通路があったのを思い出した。

本物の肉付面を求めて「願慶寺」へ

吉崎別院の境内を抜けると願慶寺への参道が。どうやら吉崎別院の入り口で見かけた看板はこちらを指していたようだ。

狭い参道を抜けると、趣のある山門が見えてきた。

この門の奥にあるのが願慶寺のようだ。

お堂の入り口まで進むと、お手製感満載の張り紙が無造作に古びた椅子に張り付けられている。下のボタンを押してくださいアピールが半端ない。

あまり押す気にならないが、このままだと誰も来なさそうなので押してみる。

「ピンポーン」とは鳴らなかったがしばらくすると、後ろの寺務所から住職さんであろう方が中へ案内してくれる。

「お参りですか??どうぞ、ご自由にお参りください」

そう言い残すと、何やら忙しそうに寺の奥へと消えていった。

入り口を入ってもお手製の張り紙は健在だ。

張り紙の右には力無くうなだれる犬っぽいヤツが「中でお詣りください」と促してくれている。

まずはお参りをして

たぶんここに「アレ」があるんだと思われる「案内所」へ。なぜ案内所なのかは不明だ。

またもや薄暗い部屋の奥には…

おお、これが「嫁を脅して取れなくなった面」嫁おどし肉付面!!

こんなお面付けたババアが竹藪から現れたら、小学校の時の肝試し並みにビビるよね。

ここで住職さんが「ああ~、すみません、案内所は有料なんですよ~」と声をかけてきた。

あっ、こちらこそ勝手に入ってすみません。

「本当は案内する女性がいるんですが、明日の法事の準備で忙しくて忙しくて、買い物に行ってまして…」

「ああ、そうですか」と言いながら500円を手渡すと、またそそくさと奥へ消えていった。

お面の後ろには右側に婆さん、左側に清、真ん中にはお釈迦さまの掛け軸が。たぶん真ん中に話をしてくれる女性が座って、関連商品を言葉巧みに売るのだろうか。観光バスが寄ったりしたら盛り上がること請け合いだ。

ショーケースには、肉付き面以外の蓮如上人や浄土真宗にまつわるものが展示されていた。

江戸時代に作られた当時のパンフレット。肉付き面伝説を広めるために作られたようだ。

鬼が人間をグツグツと煮込む地獄絵図もある。

記念スタンプもあった。記念にTシャツにでも押したかったが、インクが剥がしたくても取れなくなったら困るので止めておいた。

東本願寺の別院もあるよ

満足して願慶寺を後にし、その隣にあるお寺さんへ。ここはどうやら京都の東本願寺、浄土真宗大谷派の別院らしい。

ちなみに、このお寺以外にももう一つ「吉崎寺」なる寺に同じようなお面があるらしい。現在のところ、どちらの寺院も「こっちが本家本元じゃ!!」と主張しているようだ。

いやはや、本家本元問題というのは今も昔も変わらないんですね。ホント末恐ろしい。

まとめ

いやはや、旅というものは出会いの宝庫ですね。人との出会い、風景との出会い、お面との出会い。これからも素敵な出会いがあることを期待して旅をしていきましょう!

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