イギリスの飯は本当にまずいのか

「イギリスに行く」というと、だいたいの9割の人に「飯が不味いよね」と言われる。まあ美味い不味いなんてのは個人差があるので意味の分からない表現だが、人から言われるとなんだか先入観でそう思ってしまうものである。果たして本当にそうなのか?そう言われる所以は何なのか?実際に現地で検証してきた。
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「イギリスのメシは不味い」

現地に行く前、こう言われている所以は(別にイギリス人をかばっているわけではないが)、イギリスに限らず旅行者がいつもと違う食習慣に戸惑うところからきているのではないかと思っていた。生まれ育ってきた国の料理が一番に決まっているではないか。むしろその違いを受け入れてこそ旅を楽しめるというものだと思うのだがと…。

ただ、イギリスの料理に関してはそうでもないらしい。

誰かが言った言葉で、「世界で一番幸せな男は? ──アメリカの家に住み、イギリスの給料をもらい、中国の食事をとり、日本人の妻を持つ男。 じゃあ、世界で一番不幸な男は? ──日本の家に住み、中国の給料をもらい、イギリスの食事をとり、アメリカ人の妻を持つ男。」

上手いこと言ったものである。

イギリス料理は世界中のグルメ評論家からも酷評を得ているようで、時には政治的な問題にも発展するらしい笑。飯がマズくて政治問題に発展する国は他にないだろう。そんなにマズいのかイギリス。

そもそもイギリス料理とは何なのか?平凡な脳みそからイメージする料理といえば「フィッシュ&チップス」ぐらいなのだが、調べてみると意外なものもイギリス料理であることが分かった。ローストビーフ、ミートパイ・・・ぐらいである。

えっ?まさかの展開。

日本で一般的に知られている料理で、イギリス発祥のものが「フィッシュ&チップス」と「ローストビーフ」と「ミートパイ」だけ!?これには正直驚いた。イギリスの飯が不味いの信憑性が増してきた。

もともとイギリスには「食事を楽しむ」という贅沢文化があまりなく、あくまで食事は「生活を維持するため」という考え方が主流のようで、日本や諸外国のように「料理を美味しく食べる」という美食文化が無かったようである。これはこの問題を考える上での大きな違いだ。

簡単に言うと、料理というものを諸外国では「この食材をどうやって美味しく調理しようかな~」と考えるところを、イギリスでは「とりあえず栄養取れて食べられればなんでもいいや!」みたいな感じで考えているということである。うん、実に合理的な考え方。

イギリス料理の特徴として「野菜は原型を留めなくなるまでゆでる」「揚げ物は焦げるまで揚げる」「麺は小麦粉に戻るまでゆでる」などという鬼畜の所業かと思うような調理法が挙げられる。しかも味付けに関しては食べる側に委ねられており(たしかにテーブルに調味料が置いてあった)、何なら不味いのは食べる側のせいと言わんばかりのスタイルだ。ひどいぞイギリス。

まあちょっと言い過ぎかもしれないが、「イギリスの飯はまずい」という考え方はあながち間違ってはいないようである。

イギリス料理がなぜここまで不味くなったのかには、どうやら時代背景が関係しているらしい。

イギリスの貴族たちはかつて牛を一頭買いし、日曜日の昼飯にローストビーフを食べる(Sunday Roast)という習慣があった。一頭買ってしまう訳だから、当然ローストビーフに使ったところ以外の部位が余ってくる。もちろん1日で食べきれる訳もなくその余った部分はそのまま焼いて食べたり、スープに入れたりと例のごとく「食べられれば良い」的な考えのもと調理されるのである。もったいないぞイギリス。

結果としてローストビーフとして食べる肉は美味いが、そのほかの肉は冷めていたり、焼きすぎてたり、腐る一歩手前(一番美味しいらしいが)のような肉として食すことになる。イギリスに美食文化が根付く前にそういった食文化が成立してしまったようだ。

それ以外の要因として、産業革命以降の劣悪な労働環境も影響しているようだ。都心部の低所得階級の人々は料理を作る時間もなく働き、良質な食材も手に入りずらかった。その時期に食物を加熱殺菌するという衛生学が広まり、必要以上に食材に火を通し、とりあえず食べられれば良いというスタイルを編み出したわけである。止むを得ないぞイギリス。

だが近年になってからは、ちょっと事情が変わってきている。実際にイギリスに行って料理に関して感じたことは「世界各国の料理を出す店が多い」ことだ。街を歩いているとインド料理店や中華料理店が特に多く、そのほかにもイタリア、フランス、トルコ、タイ、メキシコ、日本料理店と世界中の料理店が集まっているではないか。なんならイギリス料理を出す店をほとんど見かけなかった。あっても観光客向けの、THE、って感じのレストランぐらいである。

どうやら巷で噂の「イギリスのメシは不味い」は、昔からの(俗にいうトラディショナル)イギリス料理の事を指すようで、近年はそのイギリス料理を改革したものや、諸外国料理は旅行者の舌に合う美味しい料理が出されているので不味いことは無いはずだ。実際にイギリスで食べた食事はどれも美味かったから間違いない。

これからイギリスに行く方々は、安心してイギリス料理を楽しんで欲しいと思う次第だ。

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